東京/ジュネーブ ― 非営利の医薬品研究開発組織であるDrugs for Neglected Diseases initiative(DNDi)は、エーザイ株式会社(以下、エーザイ)および新たに参画した国立健康危機管理研究機構(Japan Institute for Health Security:JIHS)とのフラビウイルス感染症(デング熱およびジカウイルス感染症など)の新薬創出に向けた共同研究に対し、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)から新たに約1億5,500万円(約83万7,000ユーロ)の助成が決定したことをお知らせします。
本プロジェクトは、2024年に開始されたGHIT Fund支援による化合物スクリーニング研究の成果を基盤としています。エーザイとDNDiはこれまでに、デングウイルスおよびジカウイルスに対して活性を示す複数の化合物を同定しました。本Hit-to-Leadプロジェクトでは、これらのヒット化合物の最適化を進め、新たな抗ウイルス治療薬となり得る有望なリード候補化合物の創出を目指します。
本プロジェクトの革新性は主に二つの点にあります。第一に、現在承認された治療薬が存在しないフラビウイルス感染症に対し、新規のメカニズムを標的とした抗ウイルス薬の創出を目指している点です。これにより、薬剤耐性や新興ウイルスへの対応力の強化につながり、将来的な治療選択肢の拡大が期待されます。
第二に、本プロジェクトではAIを活用した創薬アプローチを採用している点です。化合物特性を予測するAIモデルと生成AIを組み合わせることで、DNDiおよびパートナーは抗ウイルス活性と医薬品として適した性質の双方を効率的に最適化し、従来の創薬化学の手法と比較して「設計・合成・評価(design–make–test)」サイクルの効率化を図りながら、有望なリード候補化合物の同定を目指します。このようなAI支援型の創薬は、研究資源が限られる顧みられない疾患分野において特に有用であり、今後の創薬研究のモデルとなり得ます。
本プロジェクトはエーザイが主導し、AIを活用した創薬化学研究に取り組みます。DNDiは抗ウイルス活性評価および安全性薬理評価を実施し、リード候補化合物の選定を支援します。また、新たに参画したJIHSは、多様なウイルス株および細胞系を用いた抗ウイルス活性評価を行うとともに、候補化合物の作用機序の解明を担います。
デング熱およびジカウイルス感染症は、サハラ以南のアフリカ、南アジア、東南アジア、南米を中心に流行する主要なフラビウイルス感染症であり、マラリアと同様に蚊によって媒介されます。気温上昇や降雨パターンの変化などの気候変動の影響により、これらの感染症の流行域および規模は拡大しています。世界では数十億人が感染リスクにさらされている一方で、有効な抗ウイルス治療薬は存在していません。こうした状況を踏まえ、喫緊の課題として、病態の進行を防ぐ新たな治療薬の開発が切実に求められています。
デング熱およびDNDiの取り組みについての詳細はこちらをご参照ください。デング熱 | DNDi Japan
DNDi について
Drugs for Neglected Diseases initiative(顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ:DNDi)は、顧みられない人びとに、安全で有効、かつ手頃な価格の治療法を届けることを目的とした非営利の医療研究組織です。DNDiは、アフリカ睡眠病(別名ヒト・アフリカ・トリパノソーマ症)、リーシュマニア症、シャーガス病、寄生虫疾患、マイセトーマ(菌腫)、デング熱、小児HIV、クリプトコッカス髄膜炎、C型肝炎などに対する医薬品の研究開発を行っています。また、子供の健康、ジェンダー平等、性差の考慮、気候変動の影響を受ける疾患への対応を研究開発上の優先事項としています。2003年の設立以来、DNDiは世界中の官民パートナーと協力し、6つの致命的な疾患に対する新たな治療薬・治療法を提供し、数百万人の命を救ってきました。アフリカ睡眠病向け治療薬、アコジボロールはDNDiが開発した14番目の新しい治療薬です。www.dndi.org|www.dndijapan.org
【本プレスリリースに関するお問い合わせ】
DNDi Japan 広報担当 野田 葉子
ynoda@dndi.org/ 電話: 070-4465-5453
Vinicius Berger-DNDi