活動の背景
2003年の設立以来、DNDi(Drugs for Neglected Diseases initiative:顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ)は、顧みられない熱帯病(NTDs)を始めとする、顧みられない病気に苦しむ人びとの医療ニーズに応えるため、社会的責任と公共政策を提唱してきました。私たちの目標は、生物医学における研究開発(R&D)のための世界規模のシステムを構築し、すべての人びとが医療イノベーションの恩恵を受け、科学的進歩の果実を享受できることを実現することです。
この10年間、医療イノベーションと医薬品アクセスに関する課題は、これまで以上に国際会議などで政治的な議題として取り上げられてきました。
- 現在も続く新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)や、2014年から2016年にかけて西アフリカで発生したエボラ出血熱のアウトブレイクにより、大流行を起こす可能性のある感染症の治療薬とワクチンの不足の深刻さが浮き彫りになりました。また、新しいイノベーションへの公平なアクセスの確保と研究開発に投入された公的資金の管理報告を強化する必要性が示されました。
- また、高価な治療薬の登場により、必要とする誰もが利用できるような入手可能な価格の実現と、薬の価格設定や研究開発費の透明性を高めることが緊急の課題として注目されるようになりました。
- さらに、薬剤耐性と新規抗菌薬の欠如という世界的危機により、医薬品開発における既存のビジネスモデルに大きな欠陥があることが明らかになりました。
私たちが求めるもの
いくつかの重要な進展は見られますが、研究開発システムを再構築し、根強い欠点に対処するためには、依然として世界、地域、国レベルでの顕著な行動を起こす必要があります。DNDiは、NGO、市民団体、主要な政府機関、研究者、オピニオンリーダーと協力し、自分たちの経験から得られたベストプラクティスや教訓を共有しながら、政策立案者の関心が現行システムで必要な改革に向くよう努めています。私たちは、すべての人びとに新しい医療技術のイノベーションと入手可能な価格でのアクセスを担保する、持続可能でグローバルな研究開発の枠組みを提唱しています。
DNDiは、持続可能でグローバルな以下の研究開発の枠組みを提唱しています。
- 研究開発ニーズを特定するための国際的な組織
- 国際的に合意された、公衆衛生に基づく研究開発の優先順位設定
- 重複を避けるための研究開発活動の調整
- 公衆衛生に基づく研究開発を実現する持続可能な資金調達
- 競争ではなく協働を促進し、最終製品が入手可能な価格となるように研究開発イニシアティブを導く、国際的に合意された規範