<2017年10月31日DNDiが配信したニュースの和訳です>
ジュネーブ発 – DNDi (Drugs for Neglected Diseases initiative 顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ、本部:スイス・ジュネーブ) は、このたび皮膚リーシュマニア症、およびマイセトーマの治療薬開発を対象としたDNDiの研究開発プロジェクトに対し、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金 (GHIT Fund) からの資金提供が決定したことをお知らせいたします。2013年のGHIT Fund設立以降、DNDiは多くのプロジェクトでGHIT Fundによる資金提供を受けています。新たに支援を受けるプロジェクトは以下の2つです。
● DNDiと日本のパートナーである株式会社ジーンデザインは、CpG-D35併用療法の皮膚リーシュマニアに対する 非臨床研究に対し、2年間で約4.9億円の資金提供を受ける予定です。本非臨床試験はアジュバントである CpG-D35を化学療法と併用した際に、皮膚リーシュマニア症を引き起こす寄生虫に対抗する宿主の自然免疫を 賦活化することができるかを評価します。 |
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● DNDiと日本のパートナーであるエーザイ株式会社は、ホスラブコナゾールのマイセトーマ (菌腫) に対する 第II/III相臨床試験プロジェクトに対し、2年間で約2.5億円の資金提供を受ける予定です。 本臨床試験はスーダンの菌腫研究センター (Mycetoma Research Centre – MRC) で実施され、 ホスラブコナゾールと既存薬であるイトラコナゾールの有効性を比較します。ホスラブコナゾールは エーザイにより開発され、シャーガス病治療薬候補として現在ヒトでの臨床試験が実施されています。 |
「GHIT Fundによる更なる資金提供と連携を大変光栄に思います。効果的で、安全で、手頃な価格で入手できる新たな治療法を必要とする患者さんに届けるため、DNDiはこれらのプロジェクトに真摯に取り組んでまいります。」とDNDiの最高責任者であるベルナール ぺクール (Dr. Bernard Pecoul) は述べています。
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皮膚リーシュマニア症について:
皮膚リーシュマニア症 (CL) は死に至る病気ではありませんが、蔓延する地域において甚大な影響をもたらしています。罹患で生じる醜い瘢痕は偏見や差別を生み、社会からの排除や教育の中断、経済的な損失をも引き起こし、更なる貧困を導きます。感染が広がり、免疫不全の患者さん (例えばHIV感染者) では全身衰弱をもたらす原因となります。
マイセトーマ (菌腫) について:
マイセトーマは手足に現れる巨大な腫瘍により身体的障害や生活の質の低下をもたらす疾患です。偏見や差別を生み、患者さんは深刻な社会的・経済的な負担を強いられます。マイセトーマの感染経路は明らかになっていません。熱帯・亜熱帯地域の多くで見られる疾患ですが、罹患率や有病率に関するデータは著しく不足しています。真菌の感染によって引き起こされる真菌性菌腫 (eumycetoma) の治療では、極めて高価な抗真菌剤が長期にわたり服用されていますが、有効性が低いうえに重篤な副作用の可能性があり、最終的には複数回の切断手術や四肢の喪失につながっています。
GHIT FundによるDNDiプロジェクトへの支援に関するこれまでのプレスリリース:
– ジーンデザイン: 皮膚リーシュマニア症を対象とするCpG D35併用療法の有効性に関する非臨床試験
– 武田薬品工業: 内臓リーシュマニア症誘導体最適化 (Lead Optimization) プロジェクト
– エーザイ、塩野義製薬、武田薬品工業: リーシュマニア症&シャーガス病を対象とする創薬ブースタープロジェクト
– GHIT Fund設立の歓迎、およびDNDiへの資金提供開始
以上
Photo credit: Abraham Ali/Imageworks-DNDi
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【Drugs for Neglected Diseases initiative, DNDi:顧みられない病気の新薬開発イニシアティブについて】
1990年代後半、発展途上国の現場で医療活動に従事していた国境なき医師団のチームは、顧みられない病気に苦しむ患者を治療できないことに苛立ちを募らせていました。患者の治療に使用する医薬品の効果がなかったり、強い副作用があったり、あるいは製造中止になって使用ができないなどの問題があったためです。そこで、国境なき医師団は、1999年に受賞したノーベル平和賞の賞金の一部を、患者のニーズを重視して、顧みられない病気に対する治療薬の研究開発 (R&D) に取り組むための革新的な組織の設立に充てることに決定し、スイス・ジュネーブに本部を置く非営利財団として2003年7月に正式に発足しました。DNDiはヨーロッパを中心とした多くの政府機関および私設財団から資金援助を受けて活動しています。2013年度からは日本政府も参画する公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金 (GHIT Fund) による資金援助も受けています。また、WHOの熱帯病医学特別研究訓練プログラム (WHO-TDR) が常任オブザーバーとして参加しています。www.dndi.org
【DNDi Japanについて】
DNDi Japanは、2003年に日本の活動を開始し、2009年に特定非営利活動法人として東京都の認証を受けました。顧みられない熱帯病 (NTDs) に苦しむ途上国の人々を援助するために日本の窓口として、DNDi本部のプロジェクトを支援し日本国内外の協力先と協働して、NTDsの治療薬開発、それに関連する能力開発、ならびに啓発活動など、発展途上国の人々の保健医療、福利厚生に貢献することを目的とした活動を行っています。www.dndijapan.org
お問合せ:特定非営利活動法人DNDi Japan 広報担当 (Email infojapan@dndi.org / TEL 03-4550-1199)