
非営利で医薬品研究開発に取り組む、DNDi(Drugs for Neglected Diseases initiative:顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ)はこのほど、塩野義製薬株式会社(以下「塩野義製薬」)とのシャーガス病に対する新薬候補化合物探索プロジェクトに対し、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(以下「GHIT Fund」)から約2,300万円(約15万ユーロ)の資金支援が決定したことをお知らせします。
2025年1月から開始された本プロジェクトにおいて、塩野義製薬とDNDiは、シャーガス病に対するより安全かつ有効な薬剤の開発につながり得るヒット化合物を探索します。シャーガス病は、生命を脅かす可能性のある病気でありながら、治療の選択肢は非常に限られており、それらの治療法も問題が多い状況です。
韓国パスツール研究所の細胞ベースのハイスループットスクリーニングシステムを使用し、このプロジェクトのために選定された塩野義製薬の約42,000の化合物ライブラリーの中から、シャーガス病の原因であるクルーズトリパノソーマ(T. Cruzi)と呼ばれる原虫に対し抗寄生虫活性のある有望な新規ヒット/リード化合物群の発見を目指します。
WHOによると、現在世界中でおよそ600万人がシャーガス病に感染しているとされています。シャーガス病はラテンアメリカの21カ国で重要な公衆衛生上の問題となっており、グローバル化や人々の移住に伴い、非流行国でも懸念が高まっています。
シャーガス病の標準治療薬であるベンズニダゾールとニフルチモックスは、最長90日間の長期投与が必要です。さらに、慢性期における有効性のばらつき、重篤な副作用(治療患者の最大4割に発現)、禁忌、服用継続性の問題など、複数の課題があります。したがって、妊娠中や授乳中の女性を含めた全てのシャーガス病の患者に対し、安全で有効な新規経口薬を開発することが急務となっています。
DNDiについて
Drugs for Neglected Diseases initiative(顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ:DNDi)は、顧みられない人びとのために、安全で効果的、かつ安価な治療薬・治療法を発見、開発し、提供する非営利の研究開発組織です。DNDiは、アフリカ睡眠病 (別名ヒト・アフリカ・トリパノソーマ症)、リーシュマニア症、シャーガス病、河川盲目症(別名オンコセルカ症)、マイセトーマ(菌腫)、デング熱、小児HIV、 HIV患者の重症日和見感染症 、クリプトコッカス髄膜炎、C型肝炎に対する医薬品を開発しています。また、子供の健康、ジェンダー平等、性差の考慮、気候変動の影響を受ける病気などを研究開発上の優先事項としています。2003年の設立以来、DNDiは世界中の産官学パートナーと協力し、13種類の新しい治療薬・治療法を提供し、数百万人の命を救ってきました。www.dndi.org | www.dndijapan.org
【本プレスリリースに関するお問い合わせ】
DNDi Japan 広報担当 野田 葉子
ynoda@dndi.org/ 電話: 070-4465-5453
Photo credit: Rosie Wills-DNDi