グローバルヘルス技術振興基金からの2年間の助成金により、DNDiと田辺三菱製薬の顧みられない病気のための、安全性が高くより効果的な新規経口薬の開発を目指す協働プロジェクトが前進
東京/ジェネーブ – DNDi(Drugs for Neglected Diseases initiative:顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ)はこのほど、シャーガス病に対する新規経口薬の開発を目指す田辺三菱製薬株式会社(以下「田辺三菱製薬」)との新規リード化合物最適化の協働プロジェクトに対し、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(以下「GHIT Fund」)から2年間で2.94億円(約190万ユーロ)の資金支援が決定したことをお知らせします。
シャーガス病は顧みられない寄生虫病で、蔓延地である中南米や米国南部を中心にヨーロッパ、日本、オーストラリアを含め、世界中で600万人が罹患しているとされ、毎年1万2,000人を死に至らしめています。治療しなければ、心臓や他の重要な臓器に不可逆的な、生命を脅かす損傷を引き起こす可能性があります。
現在の治療薬は半世紀以上前に開発されたもので、有効性は示すものの2カ月に及ぶ長期投与が必要であり、深刻かつ有害な副作用を引き起こす可能性があります。また重篤な慢性症状を持つシャーガス病患者に対する有効性も示されていません。そのため、妊婦も含む全てのシャーガス病患者に対して、安全性が高くより効果的な新たな経口治療薬の開発が喫緊の課題となっています。
本プロジェクトの2年間で、DNDiと田辺三菱製薬は、シャーガス病の原因であるクルーズトリパノソーマ(T. Cruzi)と呼ばれる寄生虫に効果がある有望な新規リード化合物群の最適化に取り組みます。前臨床開発に求められるプロファイル(Target Candidate Profile: TCP)を満たす、候補化合物の創出を目指します。
DNDiと田辺三菱製薬は2019年9月以来、GHIT Fundの支援の下、シャーガス病を対象とする創薬プロジェクトで協働しています。2021年4月からはリード化合物創出を目指したHit to Lead(HL)研究を開始しており、有望な新規リード化合物の創出に成功しました。この成果により、本プロジェクトは2023年秋「DNDi 2023 Projects of the Year in pre-clinical research」に選出されました。
DNDiについて
Drugs for Neglected Diseases initiative(顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ:DNDi)は、顧みられない人びとのために、安全で効果的、かつ安価な治療薬・治療法を発見、開発し、提供する非営利の研究開発組織です。DNDiは、アフリカ睡眠病 (別名ヒト・アフリカ・トリパノソーマ症)、リーシュマニア症、シャーガス病、河川盲目症(別名オンコセルカ症)、マイセトーマ(菌腫)、デング熱、小児HIV、 HIV患者の重症日和見感染症 、クリプトコッカス髄膜炎、C型肝炎に対する医薬品を開発しています。また、子供の健康、ジェンダー平等、性差の考慮、気候変動の影響を受ける病気などを研究開発上の優先事項としています。2003年の設立以来、DNDiは世界中の産官学パートナーと協力し、13種類の新しい治療薬・治療法を提供し、数百万人の命を救ってきました。www.dndi.org | www.dndijapan.org
【本プレスリリースに関するお問い合わせ】
DNDi Japan 広報担当 野田 葉子
ynoda@dndi.org/ 電話: 070-4465-5453
Photo credit: Xavier Vahed-DNDi